ピアニストのばね指治療②|世田谷区はる整骨院/整体院ブログ
前回は何故ピアニストにばね指が多いのかでした。
今回はピアニスト/音楽家の方が注射をしたらどうなる可能性があるの?
そんな疑問に答えられたらと思います。
ばね指治療で注射をピアニスト(演奏家)が選択したケース
ステロイド注射を受けた際の、4つの結果から見ていきましょう。
- 注射をしたら一回でばね指が完治した!
- 注射を何度もしたけど元に戻ってしまう!
- 注射後に指が動かしにくくなった!
- 注射後に痛みが悪化した!
お医者さんのHPを覗いてみるとばね指への注射でリスクについて触れられていることはほとんどありません。
患者さんに聞いてみた感じだと、手術と違い事前のインフォームドコンセントも少ない傾向があります。
ですので、リスクを知らない方も多いかもしれないと思いました。
リスクと改善効果についてケースに分けて説明を加えていきます。
1)注射をしたら一回でばね指が完治した!
ばね指で選択される注射の薬剤はステロイドと局所麻酔薬を混ぜたものです。
ステロイド(トリアムシノロン系)は効果期間が2~3週間とされています。
局所麻酔により痛み止めと、ステロイドの強い抗炎症作用によって腫れが減少します。
腫れている(炎症)状態は腱のコブが大きい状態ですのでよく引っかかります。
※腱のコブなどについては、上記ブログの腱肥厚部を参考にしてください※
それが治まることでばね現象が起きにくくなります。
そして、ステロイドのたんぱく質分解作用もばね現象の改善に大きく寄与します。
ステロイド注射はバネ指にとても効果的に思えます。
ただ使い方を間違えると…というリスクがあります。
2)注射を何度もしたけど変化がなかった!
発祥初期であるのか長期化したものであるのかで大きく異なります。
長期化したものであれば腱の肥厚や腱鞘の肥厚も強く、ステロイドの効果では改善しきれない場合があるためです。
肥厚した部位以外もステロイド注射の効果は及びますので、量が多いと腱まで溶かすリスクがあります。
なのでお医者さんはステロイド注射の量と回数をしっかりコントロールしています。
ステロイドで溶かし切れないほど肥厚が進んでいると改善は期待しにくいです。
他にもばね現象が起きた初期であっても、効果がないばね指も存在します。
ばね現象は腱鞘や腱の結節だけの問題だけではない場合があるためです。
結節(腱のコブのこと)が複数ある場合などでは注射していない部位で引っかかってしまうという事もあります。
3)注射後に指が動かしにくくなった!
バネ指の注射後に散見されるケースです。
ステロイド注射の効果であるたんぱく質分解作用は主にコラーゲンを分解します。
指先を動かす腱も多くがコラーゲンで構成されています。
なので腱が細く脆くなるというリスクがあります。
脆くなった腱では力強く鍵盤をたたくのは難しくなります。
他にも薬剤がを誤って神経にまで影響を及ぼした場合などにも麻痺や痺れがでるリスクもあります。
運動神経が障害されれば指の動きは悪くなるのです。
ステロイド注射にはリスクが存在します。
※あととても痛いです( ;∀;)
4)注射後に痛みが悪化した!
ステロイド注射のリスクのもう一点が感染です。
肩や膝にステロイドやヒアルロン酸の注射が頻繁に行われています。
有名な治療法ですが、この際も100%の感染の予防はできていません。
ばね指へのステロイド注射でも同じことが起こります。
感染が起こると腱や関節の破壊が起こる場合があります。
痛みが増悪するケースは他にもあります。
ステロイドの薬剤は2~3週間もその場にとどまり続けます。(だからこそ効果もあるのですが…)
薬の効果で痛みがないだけなのに、その間に演奏を無理にしてしまうと腱損傷のリスクは跳ね上がります。
そうして強い痛みを感じるようになるケースがあります。
ばね指に対して注射を行う場合にはこのようなケースがあるということは知っておいてください。
改善する場合もありますし、しない場合もあり、悪化する場合もあります。
注射の上手なお医者さんも上手でないお医者さんもいます。
指が商売道具であるピアニスト(演奏家)の先生であるなら、安易に近所の整形外科で…というのは止めておいたほうがいいと思います。
しっかりと事前に調査をしてください!
上手でプロ意識の高い先生なら説明もしっかりしてくれ、上手に注射をしてくれるはずです。
はる整骨院/整体院のブログでは次回もばね指について情報を発信していきます。
次回は手術についてを書く予定です。
投稿が不定期ですが気長にお待ちいただけたら幸いです。